2015年04月18日
風の種2

子供達がみんな旅立った後、残された母は1人寂しく空を眺めていました。何人かの子供はうまく風に乗れず母の場所から直ぐそばに落ちました。その中に、遠くまで行きたい!とはしゃいでいた元気な綿毛がいました。
「え…なんだよ!ぜんぜん飛んでないじゃないか…いつも見ていた景色と何も変わらないところじゃん…こんなはずじゃなかった!おーい、おかぁーさぁーん!ねぇ、もう一回飛べないの?」
「あらら、あなたはそこに辿りついたのね!大きな風がまた吹けばきっと飛べるんじゃない?」
「僕はこんなところいやだぁー!やだぁ…ねぇ、おかぁさん、助けてよ…」
「助けたいけど、私たちの運命は風任せなのよ…」
母の近くに落ちた元気な綿毛は自分の運命を受け入れる事が出来ずにいました。
それから大きな風は全く吹かず、逆に雨ばかりの日が続きました。
「ねぇー、おかあさぁーん!雨ばっかりで風ふかないよぉー」
「…」
「おかあさぁーん!なんかいってよぉー…」
母はその役目を果たし、大地に帰りました。母の近くに落ちた綿毛は、来年の春まで自分の運命を受け入れる事が出来るのでしょうか?これから、長い梅雨、夏、秋、冬とやってきます。
「僕はいったいどうなるんだろう…」
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